今回は、南アフリカで初めて知ったルイボスティーの楽しみ方のお話。
私はそんなに物欲が強い方じゃないと思う。それでもいつも旅が終わる頃には、その土地の産物=お土産を何かひとつは自分に持たせてあげたくなる。家に帰ってからも、旅の空気や楽しかった気持ちを思い出させてくれるものたちを「旅のカケラ」としてご紹介。
旅行から持ち帰るのは、モノや思い出だけとは限らない。ルイボスティーの原産国である南アフリカ共和国への旅は、私のその後のルイボスティー・ライフを変えてくれた。
ルイボスは南アフリカのみに自生するマメ科の植物で、その葉を乾燥させたものがルイボスティーとなる。ケープタウンの郊外には、乾燥した大地に見渡す限りのルイボス畑が広がっていた。
現地ではお茶の代名詞とも言えるポピュラーな存在で、カフェや飲食店でも一番安価な飲み物はルイボスティーであることが多かった。日本だとどこでも飲めるというわけでもないし、決して安くもない。もともとルイボスティーが好きだった私南アフリカに滞在中嬉々として飲みまくった。
ケープタウンのカフェで初めてルイボスティーをオーダーした時のことが忘れられない。「ルイボスティーください」そう告げれば終わりだと思っていた私に、店員さんが
「ミルクは入れますか?」
という予想外の質問を投げかけてきた。ティーしか聞こえてなかったのかと思い、「ルイボスティーですよ?」と確認するも「はい。ルイボスティーにミルクは入れますか?」と返されたのだ。これまでルイボスティーというのはあの美しい赤色とちょっと独特の香りをそのまま楽しむものだと信じ、それ以外の飲み方があるなんて想像もしたことがなかった。一瞬とまどったものの「これぞ本場に来た醍醐味だ!」とミルクを入れてもらうことにした。そうして未知の味、ルイボス・ミルクティーとの初対面を果たした。
ドキドキしながら飲んでみると、びっくりするほど違和感がなくておいしい。紅茶で作るミルクティーから渋みを抜いたような感じで、ルイボスのふんわりした甘みとミルクがとてもよく合う。カフェインを摂りたくはないけどミルクティーを楽しみたい人にはうってつけの飲み方だと思う。
南アに行ったのはもう5年も前の話。だけど今だにルイボスティーを飲む時には、ストレートかミルクか迷うところから楽しんでいる。ミルクティーという選択肢がない人生なんて、もはや考えられない。
ときどき人にこの飲み方を勧めているけど、やはり驚く人がほとんど。半信半疑な相手に対して「想像できない?まあ一口飲んでみてよ」と言ってはこの5年前の旅の『お土産』を配り続けている。
南アフリカ、また会う日まで。